1983年20歳の頃。
可愛い後輩(笑)のサカナシに頼まれて仕方なく「まるでヤ●ザみたいなクルマ屋さんの弟分」に会う為に喫茶店に行ったワタクシ。
しばらく待っていると、店の前に噂通りの真っ黒な外車が停まった。
「いよいよ来たか」
と思ってよく見ると、それはサカナシから聞いていたクルマと少し違った。
「えげつないオーバーフェンダーとえげつないホエールテールウイング」には違いないが…ファイヤーバードではなくZ28のカマロだったのだ!
サカナシに
「お前、テキトーな事ゆーなよ!あれのどこがファイヤーバードやねん?」
と怒ると
「あれ…昨日のクルマと別のクルマや」と。
「そんなガラの悪い改造がこの世に2台もある訳ないやろ?サカナシの見間違いやって!」
とモメていると、知らないうちにカマロから下りてきた人物が立っていた。
「ガラ悪ぅてすまんな。そのガラの悪いクルマなぁ、昨日のアニキのと俺のと、同じ仕様のがもう1台あんねん」
「3台もあるんでっか?!」
これがパニックのヴォーカリストとなるシンジさんとの最初の会話であった。
シンジさんは、柴田恭平をさらに細くして目をクリッとさせたような好青年(笑)
噂に聞いた「ヤ●ザの弟分」って感じではなかった。
しばらく喫茶店でオリジナルの音源(シンジさんがギターで弾き語りした物)を聴かせてもらったり、色々話をしてサカナシもワタクシもシンジさんとバンドを組む事になった。
オリジナルが歌詞もメロディーも覚えやすく、声も「世良公則」みたいな感じでカッコよかった。
そしてなによりこの人の話は面白い!
実際にあった話を面白おかしく喋ってもらってるうち、あっと言う間に時間が経っている。
しかし、ここでふと気がつくのだが…
シンジさんはヴォーカル(ギターを弾きながら歌うのが嫌でバンド編成にしたかったそうな)。
サカナシはギター。
ワタクシはドラム。
…ベースが居ない。
誰かベーシストは居ないものか…。
♪カランコロンカラーン♪
喫茶店のドアを開け、1人のベーシストが入ってきた。
続く☆