2006年43歳の頃。
この年の4月29日、いよいよ「第4回Rock to Rock」の当日がやってきた。
KISS?のサポートドラマーのワタクシは「今回限り」って事で、今回の出演者の中に名前は無い。
ま、自分から出した条件ではあったので当然だが。
当日の対バンやスタッフの中には前からの知り合いも大勢いた。
しかしそこは「関西ロック界一の尻軽ドラマー」(←誰がじゃ!)のワタクシの事なので「あぁ、どっかのバンドで叩きはるんやろ」ぐらいの感じだった。
ここまで、演奏・衣装・使用楽器と数々の問題を(結構ノリノリで)クリアしてきたワタクシ。
最後に待っていたのは「メイク」だ。
ご存知のようにKISSのメイクは基本「白塗り」の上に様々な模様があるメンバーそれぞれ違うデザイン。
「ピータークリス役」のワタクシは猫メイクだ。
KISSを聴いてROCKにハマりKISSに憧れドラムを始めたワタクシだが、この日まで一度もKISSメイクをした事は無かった。
もちろん事前にメンバーには伝えてあったが「大丈夫です、当日はメイクしてくれる人が来ますんで」との事だった。
結果的に、その通りにクロキと言う男がメイクをしてくれた。
彼は親切な男で「ピーターの黒い部分は最初に角々に『点』を付けておくとやりやすんですよ」とか「目の回りの緑は先に多めに塗っておいて、あとから黒で形を整えながらキメるんです」とか丁寧に説明しながらメイクしてくれた。
ワタクシはそれを聞きながらじっとしているだけ。
とっても楽チン♪
さて迎えた本番。
お決まりの「You Wanted The Best!? You Got The Best! The Hottest Band In The World, KISS!!」のアナウンス(SEだった)からデトロイトロックシティーが始まる。
盛り上がる観客。こちらのテンションも上がる。
ドラムの位置から左を見ればレスポールを持った内股のエースが!
右を見れば舌を出した怪獣ブーツのジーンが!!
前ではクラッシュドミラーのPS-10を持ってピックを投げるポールが!!!
楽しい♪
俺の居場所はココやったんや!
ライブ途中に(頼まれてもいないのに)正式メンバーになる事を決意したワタクシだった。
そんなこんなでライブは進み、会場の都合で「火吹き」は出来なかったが「血吐き」もあり、演奏している側もそれはそれは楽しいライブだった。
そして出番が終わり楽屋に戻って「ロマンさん今回は本当にありがとうございました!」とメンバーがお礼を言う。
そこでワタクシはそれまでの人生で一番カッコつけて「いや『今回は』やないで『今回も』やで」
一同ポカーン
(この人は何をゆーてはんねやろ)と言う表情のメンバー。
いや、わかれよ(^_^;)
「ハッキリ言葉に出してくれないとわかんないんだからぁ」みたいな女子か?!(←最近のなんたらハラスメント的によくない表現)
ここはちゃんと言っておかないと!と「いや、正式メンバーとしてこれからもよろしくお願いします」とワタクシが言うと「マジですか?!」と大喜びのメンバー。
こうしてワタクシこと「ピーター栗♪」はKISS?の正式メンバーになったとさ。
そして帰りのクルマの中で楽しい一日を思い出していてふと気が付いた。
ワタクシにメイクをしてくれたクロキは、それまでKISS?で「ピータークロキリス」としてサポートドラマーをしいていた男だそうな。
その彼が当日会場に来れるのなら、ワタクシにサポートを頼む必要は無かったのではないか?!
『次からは自分でピーターメイクが出来るように』と細かくコツまで教えてくれたのではないか?!
何もかもが「まんまとハメられた」ワタクシであったが、当然満足感しかなかった。
続く☆